さっく!の記憶

向井康二くんを追いかけた日々

夢に見続けた、この瞬間。

2020年1月22日。ジャニーズの9人組グループであるSnow Manが、CDデビューを迎えた。
そのメンバーの1人が向井康二くん。私の担当である。

 

このデビューを以て、向井康二くんの長きに渡ったジャニーズJr.人生に終止符が打たれた。この意味を考えた時に、今まで向井康二くんが辿ってきたジャニーズJr.、特に関西での記憶が走馬灯のように思い出される。
最近康二くんが出演したLove Musicという番組の中で、自分の人生に影響を与えた曲をあげていた。藤原さくらさんの「流れ」。

 

思い描いていたものと 何だか違うような気がした

それが正しいみたいで

道なんてどこかに消えていった

不安でも ただ笑って 笑い合って

そう ただ時が過ぎればと

不安でも 涙拭いて 前向こうと

そう ただ心に誓った

 

康二くんは、私たちの知り得ないほどの不安、葛藤を感じてきたんだろう、と。
私は(Twitterの記録より)2015年9月から、向井康二くんの担当になった。しかし、彼自身は2006年10月8日に入所して以来、ずっとジャニーズJr.として人生を歩んできたのである。13年に渡って康二くんが感じてきた想いなんぞ、いちファンである私が推し量ることは不可能に近い。

 

過去のことを語るというのは、好意的な行為ではない。未練がましいからである。
しかし今回は、デビューという区切りに託けて、主に関西ジャニーズJr.の向井康二くんの歩んだ日々を振り返ろうと思う。
これは忘れないため、前を向いて進んでいくための記録である。

 

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私が康二くんのことを知ったのは、2014年4月13日。まいジャニだった。ジャニーズWESTのデビューを祝して、当時Kin Kanなにわ皇子が感謝の手紙を読んだ。
その中で一人、気にかかった男の子が。

向井康二くんだった。

彼は、涙を浮かべながらも「デビューおめでとうございます」と述べていた。その感情にはおそらく、妬みや悔しさなどはなく、大好きな先輩たち・同期たちが卒業してしまうことに寂しさを感じているようだった。同時に、これから自分が関西ジャニーズJr.を引っ張っていかなければならない、という責任感からの『不安』も感じられた。
「この子もいつかデビューできるといいね。」最初はそんな気持ちだった。

 

同じ時、「僕たちも、いつかデビューしてみせます。追いついて、追い越して見せます」と、前を向いている子がいた。金内だった。どうやら彼は向井くんのシンメらしい。デビューしたいと口に出すことは素晴らしい。きっと明るい未来が待っているだろうな、なにきん。
そう思えたのも、泡沫の夢だった。

 

2015年春松竹、千秋楽。康二くんの何よりの理解者で、相棒だった金内が、自分の夢のために、新たな一歩を踏み出した。ジャニーズ事務所からの退所。

君と巡り会った 喜びの時 特別な時間を

ずっと忘れないよ so long

きっといつかまた会えるから

いまは see you again

ありがとう いつまでも

ボケとツッコミ。しっかり者と甘えん坊。かねこじ。二人が一緒にいる時の笑顔が、何より好きだった。

 

康二くんはいつも、取り残される側だった。ジャニーズWESTがデビューした時も、相方が自分の夢を選択した時も、紫耀や廉が東京へ行った時も。いつも、いつも取り残されるのは康二くんだった。

 

この頃から、康二くんには絶対に幸せになって欲しいという感情が強まった。

 

出会いはそうさ宝物 いつだって

ずっと 忘れないで

そうさ 君と 僕らなら いつまでも

 

Happy Happy Lucky You!!を歌いながら、絶対を信じたであろう『デビュー』。叶えられなかったその夢を、康二くんと一緒に叶えたいと、強く思った。
その頃から、大阪松竹座へ通う日々が始まった。

 

彼は、どんな時でも私たちに涙を見せなかった。
誰よりも寂しがり屋なはずなのに、「寂しい」なんて一言も零さずに。誰よりも心配性なはずなのに、「不安」だなんて一言も零さずに。
なにきんが解体され、事実上のグループがなくなり、個人戦と謳われた関西ジャニーズJr.の氷河期を、たくましく進んでいったのである。それどころか、貪欲に、前に前に、関西ジャニーズJr.がもっと良くなるように、と努力し続けた。チームを思うが故に、後輩からは嫌われることもあった。しかしそれは、康二くんにとっても辛かったはずである。
元々、実兄・向井達郎と共に入所し、関ジャニ∞はじめ、BOYSやB.A.D.などのお兄ちゃんたちに可愛がられてきた、根っからの弟気質なのである。
そんな彼が、室くんや西畑と共に関西ジャニーズJr.という大きなチームを、見事に率いていたのだ。

 

最高の この瞬間を 今感じたい

 

関西ジャニーズJr.の大乱舞となったBIG GAMEで、センターに立った向井康二くん。

胸が熱くなった。

 

しかし、何度も傷ついてきた康二くんの心も、打ち砕かれることも勿論あったのだろう。
当時出演したラジオ内で、これからの夢を聞かれた際に、康二くんは『デビュー』という言葉を一切口にしなかった。

 

不安になった。諦めてしまったのではないか、と。ジャニーズを辞めないにしても、自分はデビューは出来ないのだと。それほどまでに、康二くんは「夢を見ること、夢を口に出すこと」に臆病になっていたのである。

 

新たな進展が見込まれない状況が続く中で、ジャニーズ事務所を去っていく後輩たちも後を絶たなかった。検索欄には、「康二 退所」「康二 デビューできない」などのワードも目に付くこともあった。松竹座で行われる舞台やコンサート一つとっても、「関西ジャニーズJr. 総出演」などの曖昧な表現に、心をざわつかせる日々だった。不安になれば、Johnny's netをひらいて康二くんの次の仕事を調べていた。

 

今、当時の心境を思い出してみると、私自身も変わらない現状に、もどかしさを感じていた。そんなもどかしさは、本人が感じているそれに比べれば、たかが知れているというのに。
春松竹やXmas showで、2nd movementやsee you again、Happy Happy Lucky You!!などの懐古曲が披露される度に、過去を超えられない現実をどこかで感じていた。
どこか味気なかった。どうしても過去のことを思い出してしまう。恐らくこれは、グループがないという現実が大きかったのだろう。ただ、当時の私は、無我夢中にはなれなかった。

勿論、関西ジャニーズJr.全体を盛り上げていこうと、いつも先頭に立っていた康二くんのことを心から応援していた。少年たち、ANOTHER、春松竹やXmas Showにも通った。その度に、松竹座の受付にあるファンレターボックスにお手紙を入れた。康二くんがもし、心折れそうになったときの支えになるように、と。絶対にデビューしよう、ずっと応援させてください、と文末に必ず記した。向井康二くんには幸せになって欲しい。今まで続けてきてよかった、と思って欲しい。その一心だった。ただそう願えば願うほど、グループに所属することのできていない今の康二くんは、本当に幸せなのだろうかと疑問に感じることがあった。

 

そんな最中、2018年10月。関西ジャニーズJr.にグループが結成された。なにわ男子?なんだそれ、なにわ皇子を彷彿とさせる名前だ。メンバーは?

向井康二くんがいなかった。

 

絶望した。デビューは諦めてください、と事務所から公式的に宣言されたような感覚だった。
暫くの間は、情報を追うことを避けた。康二くん退所疑惑の噂がまわってくるのも、時間の問題だと思った。
覚悟を決めるのは、私にとっては簡単なことではなかった。

 

関西ジャニーズJr. 単独コンサート。オーラス。

 

どこまでも続く夜空 不安に押しつぶされそうで

いつか掴めるのかな、あの星を

あなたがいるからって

そんなことを願いながら

 

My dreamsで向井康二くんと室龍太くんが涙を流していた、というレポート。
泣きすぎて歌えていなかったと。

 

とうとう、この時が来てしまった。

夢を叶えさせてあげられなかった。

幸せにさせてあげられなかった。

康二くんと一緒に追いかけてきた夢は、叶えられなかった。そう思った。

 

 

 

2019年1月。思いがけず私の耳に飛び込んできたニュースは、向井康二くんのSnow Man加入だった。Snow Man?アクロバットが得意な東京のお兄さんグループ。そこに康二くんが?なぜ?どういった経緯で?なんの脈絡があって?
当時の私には、疑問ばかりが浮かんだ。
本当にこの決断が康二くんにとって幸せなのか。関西ジャニーズJr.で過ごしてきた努力は、関西ジャニーズJr.では実らないのか。
大人の決断にただ従っているだけでは、康二くんは幸せにはなれないと。当時の私は、なんの脈絡もないこの加入には、腹立たしく思うことさえあった。

 

しかし確実なことが一つあった。
向井康二くんがグループに入り、またステージの上でキラキラ輝く姿を見せてくれるということ。

 

まだ、康二くんと一緒に夢が見られる。

夢を追いかけられる。

康二くんと一緒に夢を叶えられるかもしれない。

Snow Man向井康二くんを応援しようと決意するのは、自然なことだった。

 

You TubeのジャニーズJr.チャンネルや、ISLAND TVなど、Snow Manの露出は多かった。日々更新されていく、Snow Man向井康二くんとの軌跡。関西ジャニーズJr.で歩んできた時間に比べたら、まだまだ歴史は浅い。
それなのに、Snow Man向井康二くんを応援している私の多幸感は、日に日に膨らんでいった。

 

甘えん坊で寂しがり屋で、根っからの弟気質な向井康二くんに、今までずっと求めていた『居場所』が出来た。Snow Manという、グループ。去っていった相棒や仲間、一緒に居たいと願ったのに離れることになった相方とは違う。この先必ず隣にいてくれるメンバーができたのである。幸せなことだった。

 

特に印象に残っているのは、康二くんの三婆に駆けつけてくれたメンバー。事前に本人に伝えていなかったのだろう。お風呂から戻った康二くんが楽屋に入ると、メンバーが迎えてくれた。その時の康二くんの、本当に嬉しそうな笑顔。照れたような、くすぐったいような、安心したような、信頼しているような、あの温かい笑顔。本当に久しぶりに見た。

 

ああ、幸せだ。康二くんが選んだ道は幸せに続いていたんだ、と確信した。
些細な動画だったのに、自然と涙がこぼれた。

 

 

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2019年8月8日、Snow Manのデビューが発表された。
スクリーンに映し出された康二くんの顔からは、確固たる決意が伝わってきた。

 

それからの数か月は早いもので。
本日。
2020年1月22日を以て、向井康二くんは念願のデビューを果たしたのである。

 

ここから先の新たな歴史は、また新しい記録にて残すこととする。

 

ファンの皆さんは

どこにいても応援してくれていると思う

 

デビューという夢を叶えた。
次の夢はもう決めた。『本当に幸せだ』と、康二くんと一緒に涙を流すこと。

 

向井康二くんに、さらなる幸福が訪れますように。